
辻が花とは?
辻が花とは室町時代から伝わる伝統的な模様が入った着物です。小物や帯に施されることもありますが、基本的には訪問着や留め袖、振り袖の裾にあしらわれることが多いです。
「どんな模様なのか?」と聞かれると少し答えづらいですが、下記の模様が一般的な辻が花のイメージです。
出典:一竹辻が花染め|久保田一竹美術館 ITCHIKU KUBOTA ART MUSEUM
流れるような草花が描かれており、豪華な雰囲気が魅力的です。美術品としても完成度が高く衣類というよりは絵画を見ているような気分になれますね。描かれている花は諸説ありますが、「椿」や「藤」という説が有力です。
今ではテレビメディアなどに取り上げられ、知名度が高くなった辻が花ですが、実は江戸時代後期に一度、技術を継承する人がいなくなり、生産が途絶えてしまったこともあるんですよ。辻が花が途絶えた理由は文献に残っていないため、はっきりとはわかりませんが友禅の柄が人気を集めたためではないかと言われています。
そんな一度生産が途絶えてしまった辻が花ですが、昭和後期に「初代久保田一竹」などが復活させたことで、息を吹き返します。それからは久保田一竹本人や、二代目息子さんが作り手となり、途絶えることなく生産され、現在でも振り袖や訪問着として多くの方に愛されています。
ちなみに、現在残っている江戸時代以前の辻が花は300点ほどで、「幻の着物」などと呼ばれています。もし自宅から見つかれば相当なお宝になることは間違いありません。
辻が花の技法や製造過程
「一度、途絶えてしまった技法をよく復活させることができたな」と感じた方も多いと思います。もちろん、技法の復活は簡単なものではありません。辻が花復活の裏には久保田一竹先生の絶え間ない努力がありました。
当時、辻が花を美術館で見た久保田一竹先生は、40歳で研究をスタートし、約20年間の歳月を費やし当時の「絞り染め」という染色技法を復活させました。
絞り染めとは、染色をする前に輪郭となる線を糸で縫っておき、色が付くことを防ぐ技法です。「藤」や「椿」など複雑な草花の模様を表すために、無数の縫い糸が使用され、気の遠くなるような作業を経て、まずは輪郭が完成します。
さらに完成した輪郭に絵を書き込んだり、箔(はく)や刺繍(ししゅう)を施すことでやっと辻が花は完成します。
簡単に製造過程をまとめると以下のようになります。
- 下絵を書く
- 糸入れ
- 絞る
- 染める
- ③と④を繰り返す
- 解く
- 蒸す
- 洗う
- 湯のし
- 墨描き、装飾
辻が花の種類、一竹辻が花について
辻が花とは、上述の通り「絞り染め」によっては輪郭を描き、墨描きや装飾によって作られた一つの模様を指す言葉です。
そのため、一口に辻が花と言っても様々な作り手が存在し、その価値もバラバラです。
非常に高度な技法が用いられているため、辻が花が施された着物というだけで、価値が高いのですが、初代久保田一竹が作成した辻が花は、他の作品とは別格で人気が高く「一竹辻が花」として差別化されています。
二代目久保田一竹が作る辻が花の技法は初代と代わりありませんが、「辻が花を広めたい」という思いから初代の頃よりも値段を下げて販売しているため、希少価値は若干低いです。
そのほか、一竹工房(初代、二代目)の他にも多数の作家、染め屋が存在します。
- 初代久保田一竹
- 二代目久保田一竹
- 京屋林蔵
- 光粋憲一
- 吉野一廉
- 大脇一心
- 小倉淳史
- 水野保
次の章では辻が花が実際にいくらで買取されているのかを解説していきます。
着物買取における辻が花の価格相場
作家名 | 参考買取価格 |
---|---|
初代久保田一竹 | 200,000円 |
二代目久保田一竹 | 60,000円 |
大脇一心 | 40,000円 |
吉乃一廉 | 25,000円 |
桐谷翠山 | 20,000円 |
作者不明 | 10,000円 |
辻が花の買取相場はおよそ1万円〜28万円と非常に幅がありました。平均すると6万円程度の値段が付いています。
辻が花があしらわれた着物はそれだけでも十分に価値が高いのですが、作成した作家によっては価値が変わるため、買取価格ももちろん変動します。
やはり「初代 久保田一竹」の辻が花は新品では手に入らない着物なので(享年85歳で亡くなられています)、非常に高い買取金額が付きます。確認できた中では100万円を超える価格が付いた着物もありました。
平均的な価格をお伝えしましたが、下記でより具体的な金額がわかる買取事例をまとめてみました。自分の持っている着物に近しい着物が実際にいくらで売れているのかを参考にして下さい。
実績 | 業者 | 価格 | 価格(1枚あたり)※ |
---|---|---|---|
![]() |
バイセル |
173,000円 |
57,666円 |
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バイセル |
112,000円 |
56,000円 |
![]() |
買取プレミアム |
279,000円 |
93,000円 |
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福ちゃん |
130,000円 |
13,000円 |
![]() |
福ちゃん |
280,000円 |
280,000円 |
![]() |
福ちゃん |
60,000円 |
60,000円 |
![]() |
菊乃屋 |
80,000円 |
40,000円 |
出典:バイセル 買取実績、福ちゃん 買取実績、買取プレミアム 買取実績、菊乃屋 買取実績ブログ
※1枚あたりの金額は個別での掲載が確認できなかったため、合計金額を点数で割り、算出したおおよその数値です。
今回は「辻が花」に注目して、相場価格を紹介していますが種類や格、産地別に様々な買取価格を知りたい方は「着物買取の相場価格はいくら?高額で売るためのコツを徹底解説!」を参考にしてください。
高額買取となる「辻が花」のポイント
価格相場をリサーチしてわかった、高く売れる辻が花の特徴を解説します。
作成した作家が初代久保田一竹
上述でも述べた通り、初代や二代目久保田一竹、一竹工房の作家以外にも、光粋憲一や大脇一心なども辻が花の技法を用いて作品を出しています。
有名な作家の着物である以上、どれも高額買取となりますが、初代久保田一竹だけは飛び抜けて買取金額が高くなります。
まずは誰の手によって作成されたものであるかという点が辻が花を買取してもらう上で一番大切です。
辻が花調のデザインではなく、本物の辻が花
次に大切となるポイントは、技法です。世の中に出回っている辻が花の着物の中には「本物の辻が花」と「辻が花調のデザイン」の2種類があります。辻が花調の着物は「絞り染め」の跡がないことが特徴です。要は、デザインとして辻が花のような絵を描いた着物ということです。
辻が花が評価されている理由は「絞り染めによって模様を出す高い技術と気の遠くなるような工程」なので、そのプロセスが省かれた「辻が花調の着物」にはさほど高い値段は付きません。
本物の辻が花の定義が様々で作家によっては雰囲気も違うため、素人目で見分けることは難しいのも事実です。まずは無料査定を受けてみることをおすすめします。
柄が細かく、色味はダークトーン
全く同じ作者、本物の辻が花であったとしても柄の細かさによって評価が異なります。もちろん柄は複雑で細かい方が、作成に技術と時間がかかりより価値は高いです。
色味に関しては、黒やグレー、ベージュなど暗い色の方が人気が高く、買取金額がやや上がる傾向があります。年齢層としても辻が花は「30代~の方」に好まれる傾向があり、落ち着いた色味の方が売れ筋が良いため、高値を出してくれるのでしょう。
状態の良く、見栄えが良い
すべての着物に当てはまることですが、辻が花の場合はとくに見栄えの良さが重要になります。
一般的な着物や古い着物の場合は、費用の方が上回ってしまうためおすすめしていませんが、辻が花ほど価値の高い着物であれば査定前にクリーニングに出しておくことも一つの手段です。
着物の丸洗いのクリーニング費用はだいたい3000円程度です。確実に3000円以上査定額が上がるとは言い切れないため、サイトとしては一概におすすめはできませんが、汚れが目立つのであれば依頼してみるのもいいでしょう。
辻が花を売るのにおすすめの着物買取業者

評価内容 | |
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査定金額 |
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対応速度 |
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専門知識 |
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利便性 |
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接客対応 |
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- 月間申込み件数2万件以上《業界1位》
- 顧客満足度《業界1位》
- 出張買取価格満足度《業界1位》
- 最短30分!出張買取可能
辻が花を売却する際は、バイセルのように着物を専門的に取り扱っている「買取専門業者」を利用するようにしましょう。
辻が花の査定は上述の通り、「誰が作ったのか」を見分けることが重要になります。近所のリサイクルショップなどでは、作家はおろか、着物が辻が花であることすら判別できない可能性があります。
着物専門の査定員が在籍しており、口コミや評判で人気が高い業者に依頼しないと何万円も損をしてしまうことだってあるんですよ。バイセルを筆頭に「【着物買取専門店の人気ランキング】口コミ、評判で業者を徹底比較!」でランキング上位の業者を利用することをおすすめします。
バイセルの詳しい査定の様子が知りたい方は、「バイセルに15点の着物買取の無料査定を依頼してみた!【実際に体験してみた口コミと評判】」を参考にしてください。非常に丁寧な業者であることがわかる記事なので、辻が花を売ろうと考えている方もきっと安心できるはずです。
「辻が花」以外にも、様々な着物の相場価格を紹介しています。ほかにも買取価格を知りたい着物がある方は下記リンクを参考にしてください。