
目次
大島紬とは?
着物の女王とも呼ばれる大島紬。今回はそんな大島紬を使った着物の価格相場や高く売るためのポイントを紹介します。
価格相場や査定のポイントの前にまず、大島紬とは一体どのような織物なのかを解説します。
大島紬は鹿児島県発祥の高級織物!
大島紬とは鹿児島県・奄美大島を発祥の地とする絹織物です。
大島紬を使用した着物は高級着物として名高く、和装をする人であれば一度は着ることを憧れるほどの逸品なんですよ。
大島紬の歴史は深く、約1300年前から作られていたと言われています。昔は紬糸を使用して作られていましたが、昭和頃から絹糸を使用して織られるようになりました。そのため、独特の柔らかい風合いがあり、キュキュッと言う衣擦れの音が楽しめることが特徴です。
現在では伝統工芸品に指定され、世界からも注目を浴びています。
後述で解説しますが、大島紬には幾つかの種類があり、厳しい5つの規定を満たした一部の着物だけを伝統工芸品と呼ぶことはできます。
- 絹100%で作られている
- 糸を先に染めた上で、手織りで作られている
- 織り方は平織りである
- 締機(しめばた)と呼ばれる機材で手作業で絣(かすり)を加工したものである
- 手機(てばた)と呼ばれる織り機で経と緯の絣(かすり)合わせて織り上げたものである
注目してほしい点は先に糸を染め、手織りで作られる点です。染色されることで、糸は染まっている部分と染まっていない部分がまばらになります。これが絣(かすり)と呼ばれているものです。
「作ってから染めるんじゃないの?」、「機械で織るんじゃないの?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。作ってから染めるタイプの大島つむぎや、機械で織るタイプの大島紬もありますが、伝統工芸品には指定されません。
伝統工芸品の大島紬は職人たちが1点1点、織り機を使い、絣(かすり)を上手に合わせて模様を作り出しています。気の遠くなりそうな作業ですよね…。
こうして厳しい規定を満たした大島紬だけが、伝統工芸品としてさらに高い価値を持つことになります。
絣(かすり)がついた糸を何本使用して柄を作るかという点も大島紬の価値を左右します。絣糸を何本入れる本数はマルキ数と呼ばれています。
基本的には数が多いほど高価な大島紬と言われています。たくさん糸を使って細かい柄を付くほうが手間と技術が必要ですからね。
大島紬は基本的に5・7・9・12マルキで作られており、12マルキの大島紬であればより価値が高いです。
大島紬はいくつもの工程を経て完成に至る
大島紬は30以上の工程を経て完成する非常に手間がかかる着物です。すべての工程を解説することは控えますが、「染色」は大島紬の価値を大きく左右させる工程なので、知っておいて損はありません。
大島紬に使用される糸は「テーチ木」と呼ばれる奄美大島原産の木を煮出して作った液で染色します。
その際、色をしっかり入れるために鉄分が多い「泥」に浸します。大島紬の糸はこの作業を何度も繰り返しやっと完成するのです。織る工程もさることながら、染める工程にも高い技術が用いられています。
泥染めによって作られた大島紬は「泥大島」と呼ばれており、最もポピュラーな大島紬です。その他にも染め方によって「藍泥大島」「色大島」「夏大島」などに分類することができます。
- 泥大島紬:泥染した糸を使用
- 泥藍大島紬:泥染した後、藍染をした糸を使用
- 色大島紬:絣糸も地糸も化学染料で染めた糸を使用
- 白大島紬:地糸は白糸を使用、白泥で染めた糸を使用
- 正藍大島紬:絣糸も地糸も藍染した糸を使用
- 草木染大島紬:絣糸も地糸も草木染めた糸を使用
本場大島紬と何が違う?
同じ大島紬にもいくつか種類があります。
元々は奄美大島で作られた紬を大島紬を呼んでいたのですが、技術が伝わり宮崎や東京でも大島紬と同じ製法で紬が作られるようになりました。海外にも技術が普及し、昭和50年代には韓国産の大島紬も出回っていましたほどです。
数ある中でも奄美大島産の紬は「本場大島紬」と呼ばれて差異化されています。本場大島紬には地元の組合によって特別な印が付けられており、ブランド価値が高く、値段も通常の大島紬に比べて高額で取引されています。
着物買取における大島紬の価格相場
上述で説明した通り、大島紬には多くの種類があり伝統工芸品の本場大島紬と、外国産の機械織りの大島紬では買取価格に大きな差があります。同じ大島紬でも、買取価格の幅が広く、一概にお伝えすることはできないため、おおよその参考価格を紹介します。
品名 | マルキ数 | 織り方 | 染め方 | 参考価格 |
---|---|---|---|---|
本場大島紬 | 12 | 手織り | 泥染め | 4,0000円~ |
本場大島紬 | 12 | 手織り | 白泥染め | 5,0000円~ |
大島紬 | 7 | 手織り | 泥染め | 30,000円~ |
大島紬 | 7 | 機械織り | 泥染め | 5,000円~ |
一般的な「7マルキ、手織り、泥染めの大島紬」の買取相場はおよそ3万円です。大島紬は「産地の違い」や「証紙の有無」、「着物なのか反物なのか」によって値段が上下しますが、基本的にどれも需要が高く高値で売れると言えるでしょう。
とくに奄美大島原産の「本場大島紬」であれば1枚あたりの価格が10万円を超えるケースもあります。反対に、状態が悪く年数がかなり経っている大島紬の場合、500円程度の価格しか付かないこともあります。
今回は「大島紬」に注目して相場価格を紹介していますが、種類や格、産地別に様々な着物の買取価格を知りたい方は「着物買取の相場価格はいくら?高額で売るためのコツを徹底解説!」を参考にしてください。
大島紬の実際の買取事例
上記の平均的な価格とは別に、人気着物買取業者の買取事例もまとめてみました。自分の持っている着物に近しい着物が実際にいくらで売れているのかを参考にして下さい。
実績 | 業者 | 価格 | 価格(1枚あたり)※ |
---|---|---|---|
![]() |
バイセル | 185,000円 | 46,250円 |
![]() 大島紬など6点 |
バイセル | 698,000円 | 116,000円 |
![]() 大島紬など20点 |
バイセル | 150,000円 | 7,500円 |
![]() 白泥染の大島紬など5点 |
バイセル | 85,000円 | 17,000円 |
![]() |
福ちゃん | 270,000円 | 27,000円 |
![]() 大島紬など3点 |
福ちゃん | 67,000円 | 22,300円 |
![]() 大島紬や結城紬など10点以上 |
福ちゃん | 200,000円 | 20,000円 |
![]() 証紙つきの薩摩結城・大島紬 |
菊乃屋 | 40,000円 | 40,000円 |
![]() 大島紬など3点 |
買取プレミアム | 65,000円 | 21,600円 |
![]() 大島紬など4点 |
買取プレミアム | 192,000円 | 48,000円 |
出典:バイセル 買取実績、福ちゃん 買取実績、菊乃屋 買取実績ブログ、買取プレミアム 買取実績
※1枚あたりの金額は個別での掲載が確認できなかったため、合計金額を点数で割り、算出したおおよその数値です。
「着物買取のすすめ」編集部が実際に大島紬を査定に出した際の価格や、着物に対する査定員の解説は「バイセルに15点の着物買取の無料査定を依頼してみた!【実際に体験してみた口コミと評判】」にまとめてあります。
大島紬の価格はここで決まる!
大島紬ならではの査定ポイントは「本場大島紬であるか(産地)」「織り方」「マルキ数」「染め方」「絹の種類」の5つです。もちろん、通常の着物と同様に「汚れ」や「サイズ」、「デザイン」も重要ですよ。
その全ての情報を「証紙」で証明する事ができます。証紙の有無で大きく査定金額が上下するので、大島紬を売る際には絶対に証紙を用意しましょう。
もし証紙がない場合は証紙無しの着物も高値で買い取ってくれるバイセル(スピード買取.jp)を利用することをおすすめします。
- 本場大島紬であるか:奄美大島で作られた本場大島紬であるかを証明
- 織り方:手織りか機械織りかを証明
- マルキ数:使用されている経糸の本数を証明
- 染め方:泥染のなかでも基準に合格しているかを証明
- 絹の種類:本絹か正絹か、国内産か海外産かを証明
- 作家の情報:有名作家によって織られたことを照明
本場大島紬であるか?
同じ大島紬にもいくつか種類があり、奄美大島で作られた「本場大島紬」は紬をブランド価値が高く、値段も通常の大島紬に比べて高額です。
反対に宮崎や東京で作られた「大島紬」は本場大島紬に比べるとやや査定価格が低くなります。
本場大島紬の証紙には「本場大島紬協同組合」の特別な印が押されているため、証紙があることで奄美大島で作られていることを証明することができます。
大島紬の織り方
「手織り」の大島紬の方が、「機械織り」に比べて希少価値が高く、高い値段が付きます。
手織りの大島紬の証紙にだけ「伝統工芸品マーク」が付いており、証紙があることで「手織り」であることを査定員に伝えることができます。
大島紬のマルキの数
マルキの数が多い大島紬の方が高い値段が付きます。マルキとは縦糸の本数のことで、どれだけ綿密に織られているかを表す数値です。
大島紬は基本的に5・7・9・12マルキで作られており、数が多いほど柄が細かくなり、織り上げる際に手間や時間がかかるため、大島紬の中でも高級品とされています。
大島紬の染め方
大島紬に使用される糸にはいくつかの染め方があり、「古代染色純泥染」と呼ばれる染め方で作られた大島紬には「染め証紙」と呼ばれる別の証紙が貼られている場合があります。
染め証紙は泥染めの基準に合格したものにだけ貼られている特別な証紙なので、付属することでより着物の価値を上げることができます。
大島紬の絹の種類
大島紬を作る際の絹の種類は正絹と本絹の2種類があり、正絹の方が本絹よりも高値が付く傾向があります。本絹は化学繊維を混紡していたり、正絹を作った際の余りで作られた絹であることに対して、正絹は100%天然の絹なので正絹の方が高値が付くことは目に見えています。
また、正絹の中にも国内産、海外産と分類があり、国内産の正絹の方が高値が付きます。絹の種類や産地は証紙に貼られている「正絹シール」によって判別することができます。
有名作家が携わっているか
大島紬は基本的に大勢の手で作られる織物なので有名作家による作品は、あまり存在しません。
しかし中には、有名作家が携わった品もあり、非常に高い価値があります。今まで確認できた中では「森口華弘」による大島紬がありました。
大島紬を売る4つの方法
総合リサイクルショップ
家電や衣類、宝石まで広く取り扱っているリサイクルショップでは、大島紬の本来の価値を見落としてしまう可能性があります。専門的な知識を持たない業者に買取を依頼すると、「着物は1点、一律〇〇円」と言ったような曖昧な査定を受けることもあります。
通常の着物ですら、リサイクルショップに持っていくことはおすすめしていません。さらに専門的な知識が必要となる大島紬の場合は、言うまでもありません。絶対に着物専門の査定員がいるお店を利用しましょう。
オークションサイト、フリマアプリ
大島紬の種類が非常に多いことは冒頭で解説しました。オークションサイトやフリマアプリを利用した際は、このような種類に関する質問に出品者自身が返答をしなければいけません。
着物に関する知識に自信がある方であれば、売却方法としておすすめですが、素人の方にはおすすめしていません。自分では正しい情報を伝えているつもりでも、実は誤っておりトラブルに発展してしまう可能性もあります。
中古呉服店
中古の着物屋、呉服店もお客さんから買取をしてくれる場合があります。大島紬に関する知識は豊富に持っていますが、店舗で買取を行っている業者は、買い取った大島紬を自分のお店で売るしか販売の方法がありません。
お店側からすると、売れ残ってしまうリスクなどを踏まえた上で買取をしなければいけません。下記で紹介する着物買取専門業者に比べると買取価格には期待できないでしょう。
着物買取専門業者
大島紬を売る上で一番おすすめの買取先が「着物買取専門業者」です。着物を専門的に買い取っている業者であれば、知識が豊富なことは間違いありません。
着物買取専門業者は、流通販路を多く持っているため他社に比べて高く着物を売る事ができます。もちろん高く売れるということは買取依頼者に還元できる額も高いです。
査定金額、専門知識ともに満足できるのは着物買取専門業者だけですよ。
大島紬の買取をしているオススメの業者
バイセルは全着物買取業者の中でも、経験豊富な鑑定士が多く在籍していることで有名な買取業者です。
バイセルのような着物の買取を専門的に行っている買取業者であれば、1人1人の鑑定士の知識が高く、査定が難しい大島紬の着物でも正確な価格を出してくれます。
より詳しいバイセルの買取の特徴が知りたい方は「バイセルに15点の着物買取の無料査定を依頼してみた!【実際に体験してみた口コミと評判】」を参考にしてください!
「大島紬」以外にも、様々な着物の相場価格を紹介しています。ほかにも買取価格を知りたい着物がある方は下記リンクを参考にしてください。